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12月6日
今週の出来立てホヤホヤの話題は、史上最大のメルセンヌ素数が、分散コンピューティングプロジェクトで発見されたことでしょう。 先日の12月3日(水) にミシガン州立大学のMichael Shafer(26歳)が、2GHz Pentiumプロセッサを搭載した米Dell製のマシンでプロジェクト参加中に発見したとの事。 このプロジェクトの参加者約6万人と21万1000台のコンピュータが参加して行われており、発見者はこの中の1人、1台であったわけです。

なぜこれが話題になるのか、と言うと、今回の数字は630万桁以上で、要するに1桁を1バイトで表すと当たり前ですが、6メガバイト以上になると言うことで、こんな大きな数字をシラミツブシにたくさんのコンピュータで調べてやっとたどり着いたと言うことです。 こう言う分散コンピュータの有効性が実証されたのと、今話題の「公開鍵方式の暗号」はこの素数の性質を利用しているので、暗号の有効性に関連しているので、大きな話題となったと思われます。

このプロジェクトは、Great Internet Mersenne Prime Search(GIMPS)グループが主宰しており、2年前にも約400万桁の素数を発見しており、今回発見したのは 6番目の素数です。 同様のプロジェクトは他にもあり、電波望遠鏡の信号を解析し地球外生命体からの通信を探知しようというプロジェクト「SETI@home」や暗号破りコンテストプロジェクトもあります。 日本人の参加も多く、結構上位を占めています。

素数とは、1とその数自体でしか割り切れない数のことで、2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41 と永遠に続くのですが、この辺りだと暗算で確認できます。 今回のは素数の中でも特殊な メルセンヌ素数(Mersenne Prime)と言うもので、「p」を素数とするとき、2の「p」乗-1という形で表される素数のことです。 こうした種類の素数を研究した、1588年生まれのフランスの修道士で数学者でもあったMarin Mersenneにちなんで名付けられました。

ちなみに n が素数のとき、Mn = 2n-1 の形をした自然数をメルセンヌ数といい、メルセンヌ数が素数であるとき、そのメルセンヌ数をメルセンヌ素数といいます。 n が素数でなければ Mn は素数となりませんが、n が素数であっても Mn が素数になるとは限りません。 Mn = 2n - 1 が素数(要するにメルセンヌ数)であるならば、2n - 1(2n - 1) は完全数となります。 この事実はすでに紀元前4世紀のユークリッドによって知られており、およそ2000年の後に、全ての偶数の完全数はこの形の時に限るという事が18世紀のオイラーにより証明されました。

現在メルセンヌ素数は39番目まで知られていて、 2, 3, 5, 7, 13, 17, 19, 31 と素数に比べて少なくなっています。 ちなみに39番目のp(実際の数字は2のp乗)は 13466917 で、今回発見されたのは 40番目で、p=20996011 となるわけで、これを実際に計算すると630万桁以上になるとの事。 この新素数の実際の数字は、米Wolfram ResearchのMathWorldサイトからダウンロードでき、全ての桁が印刷されたポスターとそれを読むためのルーペも、愛好家向けに販売されているとの事で、探したのですが見つかりませんでした。 6メガの数字のファイルはここにあります。

こんなに大きな数字の素数やメルセンヌ素数も実際には無限にあると証明されていますが、それではどれくらいの頻度で出現するのでしょう? これは数学的には非常に難しい問題で、1896年に、アダマールとド・ラ・ヴァレ・プサンによって独立に、この分布を表す素数定理が証明されています。 この定理は、1792年に15歳の天才ガウスによって予想されていたそうです。 すごいですね。

これに反して、H2Aロケットの失敗は、全くの悪いタイミングでした。 元々910テロの2周年記念日の9月10日に予定していたものが延期の挙句、ものの見事に失敗。 これで北朝鮮も胸を撫で下ろしたことでしょう。 日本は中国の有人飛行の足元にも及ばないような、ここ一番に弱い事を示してしまいました。 これで対北朝鮮をはじめ外交は非常に困難になるでしょう。 今年の2月に打ち上げに成功したときは。それなりにプレッシャーを与えられたのですが、今回は逆に弱みを見せてしまいました。 従来の失敗以上にダメージの大きな失敗でした。 これで何としても自衛隊をイラクに送らざるを得なくなったのでは無いでしょうか。 本来は自衛隊云々よりイラクの復興をどうするか、ひいては中東の安定をどうするか、と言う議論にならないといけないのに、単なる自衛隊派遣問題になってしまいました。

新たな強力な国連決議も望めない今となっては、いつ出すかだけがポイントになってきました。しょうがないと言えばしょうがない
このリンクの「PROJECT VIEWERオンライン版」 は
ロケットのグラフィックがすごい。 お金かかってる。
のですが、行く自衛隊の身になってみれば、もう少しキチンとしてくれ、と言いたくなるのではないでしょうか(雑誌を見ていたらこう言うのをしょうがない症候群と言うのだそうです)。 まあ、警察官や消防士にも事故はあるんですから、それ自体を大げさに言うのはどうかと思いますが、納得の行く状況を作るのが最低限の条件作りでしょう。

ロケットに関して最近愕然とするような製造現場の話を聞きました。 日本の基盤製造で、ハンダ付けがロクにされていないものが納入されたと言うのです。 にわかには信じられず、特殊な例とは思いますが、10年以上前でも台湾の現地の工場を見て、これは負けてるな、と感じました。 その後中国は発展しているので、まさか中国の奥地の奥地でもなかろうに、日本の製造はどうなってしまったのか、と暗澹たる気持ちになりました。 ロケットの失敗を合わせて考えてみれば、かつて世界の工場を目指した(それもたった10数年前に)、日本の製造現場はどこへ行ってしまったのでしょう。

今月の読み物は、ネタが切れてしまったので、本棚を探して見つけたのが「カンブリア紀の怪物たち」―進化はなぜ大爆発したか シリーズ「生命の歴史」〈1〉 講談社現代新書 サイモン・コンウェイ モリス (著) 松井 孝典 (翻訳) 価格¥940。

最近では時々テレビでもやっていることが多くなったので、おなじみの方もおられると思います。 生物の大爆発期の物語で、現在の人間につながる脊索動物がはじめて現れたのがこの時期。 奇妙な形をしたものが多く、ほとんどは現在存在しません。 生物創造の大実験とも言われる所以です。

海老の尻尾と思われていたのが、実はアノマロカリスの触手だったというのは有名な話で、別々に保管されていた本体と触手が一緒に合わさって、やっと完全な姿に復元できたと言うことです。 この他にも見慣れない形の生物が多く、復元された絵を見ているだけでも想像力が膨らみます。

出版社/著者からの内容紹介。 【カンブリア紀への招待】――バージェス頁岩はありきたりの化石層ではない。 ここでは腐敗の過程が一時停止してしまっていて、古代の生命の豊富さをありのまま見ることができる。堅くて丈夫な骨格を持つ三葉虫や軟体動物ばかりか、全く骨格の無い軟組織だけから成る動物も遺されている。これらの驚くべき化石においては動物体の輪郭だけでなく時には腸や筋肉のような内部組織までもはっきりと眼にすることができるのだ。ちょうどガラパゴス島のダーウィンフィンチという鳥が「適応進化」の重要性発見の代名詞とされるように、あるいは、また、ショウジョウバエが分子生物学の発展のシンボルとなっているように、バージェス頁岩は、生命の歴史の研究に生涯を捧げる人々にとって、イコン(聖像)になりつつある――本書より






11月3日
先月末から、大規模な太陽フレアが発生し、いろいろな被害が出ています。 10月28日早朝、2回目は29日夕刻、それに続いて11月2日は中規模、3日の真夜中過ぎにも観測されたそうです。 大体太陽から地球に到達すのに光で8分かかりますが、太陽フレアによる磁気嵐が発生するのは太陽からの粒子が到達するまでの時間で今回は19時間ほどかかっているようです。 3日の真夜中ですとそろそろ3日の夜には地球に到達することになります。

磁気嵐は地球から見て真正面の位置にある状況でフレアが発生した場合に大規模なものとなる可能性が高いのですが太陽は自転しているので、太陽プロトンの影響は活動領域が西のリムに近いところでフレアが起きた場合が最も大きいと指摘する研究者もいて定説はないようです。 磁気嵐の強さはG1〜G5の5段階に分類されていますが、今回の強さはG5の最大級といいます。 過去15年間でG5級の磁気嵐は5回観測されていますが、今回のように地球を直撃するものは珍しく、1989年以来という事です。 カーナビには影響があるようですが、ケータイには影響がないようです。

この影響でアメリカのなんとテキサス州エルパソでもオーロラが観測されたそうで、日本でも北海道や八ヶ岳、京都でもオーロラが観測されたそうです。 もっともオーロラと言ってもカーテン状のものではなくて夕焼けみたいなものです。 南半球でもオーストラリア・ニューサウスウェールズ州のアングロ・オーストリアン天文台でも、30日未明に白いオーロラが観測されたそうです。

海外では、北緯57度以上の高緯度域を飛ぶ航空機と通信の一部に障害が出たが、飛行に支障はなかったものの、 磁気嵐の影響を避けるため、飛行ルートを通常より低緯度のものに変更するよう航空機に指示したそうです。 米北東部やカナダの変電施設の一部では、電圧の異常が見られたため、複数の原子力発電所が出力を絞り、送電を取りやめた小規模な水力発電所もあるとのこと。 一方、NASAによると、地球上空約400キロの軌道を回る国際宇宙ステーションでは、磁気雲の照射が最も激しかった約20分間、2人の飛行士は、放射能防護機能がステーション内で最も完備している住居区域に避難。また、外部にさらされているロボットアームは、念のため一時停止しました。

日本では、磁気嵐による故障を避けるため、太陽観測衛星「SOHO」はいったん画像送信を停止。日本では、データ中継衛星「こだま」が一時的に機能を停止するモードに入ったといいます。 しかしもっとも影響の大きいのは環境観測技術衛星「みどり2号」が回復不可能なまでダメージがあったと言うことです。 先代のみどりと合わせて1400億円がパーになったそうで、隣の中国は有人宇宙飛行に成功したと言うのに、日本の宇宙技術にまたまた黒星が付きました。 保険はかかっているものの、3億円程度でほとんどが結局我々国民の負担となります。 これだけでも赤ん坊から老人まで全員が1000円以上負担することになります。 まあ原因が太陽フレアによるものと言うことでしょうが、他の何百とある衛星にそれほどのダメージがなく、みどりだけにそのダメージがあったと言うことは、やはり設計上の問題があったと言わざるを得ないのではないでしょうか。

先代のみどり同様、故障の原因は電源部分。 通信が途絶したのは、衛星の動力源である電力の太陽電池パネルからの供給が急に減し、バッテリーがあがったせいだ。太陽電池は強い放射線や太陽光にさらされるため、当然これに対する防護がなされていてしかるべき。 そんなに先端の技術が必要とも思えず、単なる手抜き設計の可能性は否定できません。 宇宙3機関が統合した宇宙開発事業団は、10月1日に発足したばかり。 今後は本当に統合の真価を問われることでしょう。 専門家は「衛星は年々大型化し、高価になっているが、今の技術レベルでは失敗のリスクが大きすぎる。大型化路線を考え直すべきではないか」と指摘しており、組織の硬直化を感じます。 また戦艦大和の轍を踏むのか。

度重なるロケット打ち上げの失敗、先日来の大工場の事故、どれを見ても日本全体が組織疲労を起こしていることは明らかで、いわゆる構造改革を本当にやらないと、10年20年先には本当にだめな国になり下がっているのではないでしょうか。 政治や経済の構造改革が叫ばれていますが、このようなもの作りの現場での構造改革はまだまだ未完のような気がします。 これなくしては日本の将来はなくなります。

この中でもほっとするような話題が東大阪の「ペットサット」。 民間で独自の人工衛星開発を目指す大阪府の「東大阪宇宙開発協同組合」の衛星開発計画が、NEDOから5年間で事業費約7億円の支援を受けることになりました。 組織の名前はいかめしいが要するに東大阪の中小企業の社長さんたちが東大と共同で立ち上げ、2008年の商業利用を目指します。 小泉首相が昨秋の所信表明演説で経済再生の取り組み例に挙げ、注目されていました。 ペットサットは通信機能などを搭載したパネルを組み合わせてつくる独特の形状。目的や用途に応じて使う枚数を決め、量産化が可能で、1基5000万-1億円程度に抑え年間26個程度を打ち上げて商業化を目指すそうです。 NEDOの支援と言うのが面白くて、科技庁と経産省の縄張り争いみたいですが、このような競争はどんどんやったらよいと思います。 一方、宇宙開発事業団(NASDA)は今夏に本格オープンするモノづくり支援拠点「クリエイション・コア東大阪」の第1期施設にNASDA関西拠点(仮称)を開設し、これもまた支援をするとの事。

関西拠点は1期施設3階部分に開設。2人を配置する見込みで、中小・ベンチャー企業を含めた民間企業との協業や産学連携の関西圏での相談窓口の機能を担う。来春に開設予定の2期施設には宇宙関連技術の共同研究を目指した研究室の開設も検討しているとの事。

東大チームは超小型衛星の研究に実績があり、6月末には、学生手作りの衛星をロシアから打ち上げるのに成功しています。 このようなアマチュア無線関連の衛星はざっと数えただけで30機以上稼動しているようです。 日本では打ち上げられずに、ロシアで、と言うのも何か悲しい。 東大阪の衛星もどこで打ち上げるのでしょうか。

太陽フレアで生じるのが太陽風。 空気の風が吹くのではなくて、太陽からの粒子の風が吹き、この風を受けて進む超エコロジカルな宇宙船です。 太陽からの追い風で行くとなると、太陽系外への旅行に最適です。 ただし時間はものすごくかかります、通常のヨットのように。 太陽風だと粒子の速度が遅いし風圧(と言ってよいのかな)も弱いので、光子を利用したものをソーラーセイルといいます。 光の圧力はものすごく小さいので、理論的には光の速度まで加速できますが、ものすごく軽い帆が必要になって、計算では原子1つの厚みで作っても光の10%ぐらいが関の山だそうです。 そこまで言わなくても1%程度で良いなら実現性は出てくるでしょう。 しかし、この速度で太陽系外に出ても一番近い恒星にたどり着くのに1万年くらいかかってしまって、現実性は薄いです。 しかし世の中は実用一点張りではありません。 いつかは例のアメリカズカップが太陽風や光子を利用したヨットを使って宇宙空間で行われることでしょう。

今月の読み物は「日本人の英語(上)」岩波新書 マーク ピーターセン (著), ¥700。
英語が分からんと言う言うあなた、ぜひ読んでください。 著者はアメリカ人ですが、日本語で書かれたこの本を読んでると、自分の日本語が如何に分かっていないか良く分かります。 また当然に英語の真髄の一端を垣間見れます。 さらに一種の文化比較になっているので、単なる英語の本と言うより、考え方の差が分かってなかなか興味深い本です。 上と下があって、上がお勧め。 下はイマイチ。

「'悔しい'と言う事を母国語でそのまま表現出来ないことは、本当に悔しい」と言うように、お互いの言語では直接表現できないことが多くあるようで、これを理解する事が本当の国際理解ではなかろうか、と思っています。 いつか本欄で書いたことがあったともいますが、外国人らしい2人の女の子が電車の中で会話していて、説明は英語で論理的に、しかしその感想の段になると、感嘆詞はほとんど日本語でした。 上手に良いところを使い分けていました。

英語と日本語がぶつかるところは、映画の字幕や吹き替えです。 従って著者は映画を使って英語の授業をするそうです。字幕や吹き替えは本当にうまく出来ていて、本当の意味はもちろん口の動きを合わせるためのフレーズの長さまで考えて翻訳をしているのです。 私もだから映画は2回見ます。 吹き替えとオリジナルと。 字幕はどうしても読んでしまうので駄目ですね。 先ほどの「悔しい」は映画で言うと、マイフェアレディでオードリーヘップバーンが扮する田舎娘が変身して貴婦人になるのですが、この時に田舎訛りを直すために歌ったのがスペインの雨(正確には?)です。 早口言葉みたいになっていて、これで発音を治したそうです。 そう言えば、最近話題のシュワルツネッガーもオーストリー出身なので、ハリウッドで徹底的に発音を直されたそうです。しかし演説を聴いていると、やはり訛ってますね。

「悔しい」に話を戻すと、貴婦人となってのお披露目で、みんなから賞賛されるのは、彼女を育てたヒギンズ教授だけで、本人は見向きもされません。 この時、一人部屋に戻ってベット(かソファー)に突っ伏して、あのか細い腕でコブシを作ってドンとやるんです。 これが確かに「悔しい」事なんですが、これを表現できる英語がないので、彼女はなんとも言わない、台詞がないのです。 日本語なら「ああ悔しい」ぐらいの台詞はあって良いでしょう。一度、深夜TVでリバイバルで放映していたら録画してじっくり見てみては如何? こう言うのが随所にあって、一気に楽しく読める英語モノです。





10月4日
株式も上がって来たのですが、円は上昇、またまた先の見えない状況になってきました。中国の元の切り上げをスノー長官に言わせたと思ったら、矛先がちょっと狂って、円が上がると言う、結果を聞けばなるほどとは思いますが、先が読めませんね。 頼みの米国も大幅減税で何とか持っていると言う日本で言えば90年代中ごろのような状況で、これから巨額の財政赤字が毎年50兆近く発生して行く計算になります。 日本は米国や世界の周回遅れと思っていたら、ダントツの先頭ランナーでした。 アメリカは今年のクリスマス商戦が見物で、これで2004年の大体の経済状況が判断できると思います。 毎年クリスマス商戦はそのような目で見られてきましたが、今年こそみんなが固唾を飲んで見守ることでしょう。

2000年ぐらいからアメリカ辺りでブームになっていたようですが、ウエブログ、略してブログが日本でもブームを迎えています。 Webブラウザ以来の大発明と言う人も居るくらいですが、その正体はイマイチ不明でした。 私も単なるNewsの変形みたいに思っていましたので、あんまり興味はありませんでしたが少々調べてみました。 要するに、私のこのようなサイトもブログの一種と言うことだそうです。 Web上の公開日記とか言われていますが、広義には常に更新されているサイトの事を言い、毎日ですと日記と言う風になります。

私の本Webサイトも最近まで一方通行だったのですが、掲示板を追加しましたので、ブログに近くなったと言うことでしょう。 ブログ特有のものと言うと、いろんなツールがあるようです。 確かに本欄で見るようなリンクを張るのには結構メンドウで時間がかかりますが、このような事を自動でやってくれるらしいです。 また、各種のNewsやWebサイトの記事を同じフォーマットで扱えるようにしたものもあります。

まあ言うなら、メーリングリストとWebサイトとNews(掲示板)を一緒くたにして、良いとこ取りをしたものと思えば良いのではないでしょうか? 一時のイントラネットブームであったように、いち早く業務に取り込んで、社内の情報交換に使ったり、社外のクレーム処理に使ったりしているところもあるようです。 更にはいろんな情報元を一緒に扱えるようにフォルダ形式で管理出来るようなものまで、無料、有料のブラウザ的なものがいろいろ出ているようです。

先月の続きの量子力学を少々。 量子コンピュータのように量子力学が原爆以来再び我々の身近になってきました。 この量子力学でもっとも分からんのは、観測問題です。 要するに素粒子、特に身近なのは電子がどのように「見える」かが問題です。 原子の姿で良くあるのは、中心核の陽子と中性子の塊の周りを電子が回っているというような、太陽系のイメージですが、中心核はさておいても回ってる電子はどのように見えるのでしょうか? 本当に「見る」と言うのは、結構難しいのですが、イメージ的には電子の雲が中心核の回りにモヤモヤとしているという感じでしょう。 これは何も電子の数が多いというのでなく、一つしかない水素原子でも同じことです。 これは理論的には電子は確率的に存在していて、どこにあるのかは誰にも分からない、と言う事で、誰にもと言うことは神様にも分かりません。 これを評してアインシュタインは「神様はサイコロを投げない」と言ったそうです。
有名なダブルスリット実験と言うのがあります。 2つのスリットを設けた反対側から電子を一つ一つ飛ばします。 スリットの反対側にスクリーンを置いておいて、片方のスリットを閉じます。 この場合は明確に一つのスリットを通して電子が飛んで来たと言えます。 しかしもう一つのスリットを開くと、電子はどちらも通れますから、どっちを通ってきたのか? 電子が粒子状であれば必ずどちらかを通るのは間違いないですが、よく言われているように波動性も持っていますので、要するに両方のスリットを通ってくるのです。 これは数年前に日本の大手電気会社の研究者がこれを実際にやってみて、この通りになることが実験的に確かめられて大騒ぎになったことがあります。

ここまでは何とか理解できるのですが、これからが問題。 電子を一つ一つバラバラに時間を置いて送るとどうなるか? まず一つ送るとスクリーンにはポツッと一つ電子の当たったところが出来ます。 2つ目は別のところに出来ます。 これをどんどん繰り返すと、スクリーンには規則的な縞模様が現れます。 これは電子を波と考えた時の干渉縞と同一なんです。 まだ何が不思議か分からんと思いますが、電子を一気に送ったら、干渉縞が出来るのは良いとして、時間的にバラバラに送ったものがそれでも干渉縞を生じるのは、電子が波と言う通常のイメージのように空間的に広がっていると共に時間的にも広がっていることを示します。 要するに1個の電子があるとする(「ある」といって良いのかどうかですが)と、それは全宇宙空間と過去と未来の全てに何らかの影響を持っていると言うことになります。 少なくとも干渉縞を作る程度(ほとんど実在と同じ)に影響を持っている、と言う非常に理解しがたい結果になります。

前回の量子暗号で問題になったEPRパラドックスの原因がそれで、光子が全空間に広がっていると考えると説明がつきます。 もっともEPRパラドックスの提唱者であるアインシュタインも、その系譜を引くxxxもこのような説明を信じておりませんし、単なる数学的な結論として、信じていない科学者も沢山居ます。 もっともゲルマンのクオーク理論も当初は単なる数学的なモデルだったのですが、後ほどどうも本当にそうなっているらしいと言うことになって、ゲルマンはノーベル賞をもらいました。

元のダブルスリットの話に戻ると、電子はどちらかもしくは両方のスリットを必ず通るはずですから、そのスリットの場所にセンサを置いて観測すれば、上記の問題に決着が付くはずですが、センサを置いて観測したとたんに、上記の干渉縞は無くなり単なる粒子としての性質しか現れないそうです。 それでは一体どの時点でこの変化が生じるのか? これが観測問題です。 センサといっても電子にとっては単なる外部の素粒子の塊ですから、いくら真空にしているといっても実験の時に存在している空気の原子と区別できるはずも無く、極端な説は人間が意識したレベルでこれが生じると言うようなものまであるそうです。 結局現在の量子力学では説明が付かずに、数学的にのみ扱って真実は棚上げしてしまおうというのがハイゼンベルグの系譜を引くコペンハーゲン解釈と言われるものになっています。 もう一つの解釈は多世界解釈で、多くの世界が重なり合っていて、その都度どれかが選ばれる、というものです。 どっちもどっちと言う感じですね。

ただこれを神秘性のネタに使う団体が多くあります。 世界は予測できないとか、波動性がどうたらこうたら、と言うのが特徴で、先日の北陸での騒ぎもこれに似ています。 一番の問題は、マクロの日常生活とミクロの素粒子の世界を一緒くたにしてるところです。 例えばミクロの世界では粒子がエネルギーの壁を通り過ぎる事が出来ます(これで江崎さんはノーベル賞をもらいました)。 一方日常生活では自動車が塀にぶつからすに、そのまま通り抜けることはあり得ません。 ただ同じ物質ですから、量子力学的に言うとあり得るのですが、その確率が問題で、宇宙の寿命を費やしても通り抜けることは出来ないでしょう。 時間が無限にあって、無限に衝突を繰りかえせば、1度くらい成功するかも知れませんが、それを盾に可能と言われると ?になります。

しかし、世の中には意地の悪い人が居て、このミクロとマクロの関係をつけています。 内側が見えない箱のなかに,放射性物質とそれに反応して毒ガスを出す装置と,1匹の猫を入れます。放射性物質が崩壊を起してそれに反応して毒ガスが出て猫は死にます。 放射性物質の崩壊がいつ起こるかは量子力学でしか分かりませんから、蓋を開けて見るまでは、量子力学の示すように生きている猫と死んでいる猫の合成となりますが、そんな馬鹿なことは無いはずですが、ミクロの世界ではこういう事が常に起こっているのです。 「シュレーディンガーの猫」として有名なパラドックスです。


多次元宇宙とは少々異なりますが、これで思い出したのが、「何故この宇宙に人間が居るのか?」ということに対する答えで、科学者の間ではあんまり評判は良くないようですが、私が気に入っている解釈が人間原理と言われるものです。 要するに人間がいるような宇宙にたまたま生存しているから、と言うのが答えです。 宇宙の中の地球も同じで、たまたま空気があって水があって、生物が生じてそれが進化して宇宙を認識できる知性を持って、自分と言うものがたまたまそこにいるから、そうなんであって、なぜアンドロメダに自分が居ないのかは、たまたまここに居るからとしか言えないと思います。 従って私は地球に人間がいるくらいだから他の星にもいるはずと言うのは、信じません。 本当に奇跡のように我々は存在していると思います。

先日本を読んでいたら、このような解釈を「弱い人間原理」と言うようです。 この説の評判が悪いのは反論が出来ないという点にあるようですが、何となく言いがかりのように感じます。 これに反して強い人間原理とは、神が人間を創ったというようなもので、これは全く理屈には合わないでしょう。

生物の痕跡は宇宙に沢山ある、と言うのは理解できます。 恐らく無生命と生命の間はそんなに大きくないのでしょう。 ただそういうレベルを生命といって良いのかどうかで、問題は人間のような知性的な生物に進化出来るかが問題です。 単なるアミノ酸程度はどこにでも生じるのでしょうが、それと人間のような(もしくは真核細胞でも良い)レベルに達するにはそれこそ気の遠くなるような偶然が必要なのでしょう。

今月の読みものは、羊の沈黙、レッドドラゴンに続くレクター博士の「ハンニバル」です。 ハンニバル〈上下〉新潮文庫 トマス ハリス (著) 高見 浩 (翻訳) ¥705+¥743。 既に映画で放映されていると思います。 時々うんざりする部分もありますが、はやりトーマスハリス、読ませてくれます。 翻訳にありがちな堅苦しさもなしに、読み始めると上下2冊があっという間に終わります。 イタリアが一つの舞台になっており、その歴史と描写とか、レクター博士の趣味と言うことで傾けられる薀蓄はなかなか面白い。 私の分野では車椅子のホーキングが登場します。 この本の中ではレクター博士は万能で通常の犯罪者とは全く異なる設定がされています。 羊の沈黙以来のクラリスは健在。 何故クラリスの上司があんなに執拗に意地悪なのかは最後にやっと分かります。 時々うんざりするような薀蓄があるのは高村 薫並です。 古いところでは宮尾 登美子と良い勝負です。

FBI捜査官クラリスは、麻薬密売人を射殺してしまい、世間の非難を浴びていた。それを知った逃亡中の犯罪者レクターは、クラリスの手を差し伸べるが、レクターを憎む大富豪は、クラリスを餌にレクターを捕らえようとしていた。 アカデミー賞主要5部門(作品、監督、主演男女優、脚色)を受賞した傑作ミステリー『羊たちの沈黙』の続編。前作はクラリスを中心に物語が展開していったが、今作の主役はレクター。天才と狂気は紙一重というが、まさにそれを地でいく彼の知性と邪悪が入り交じった「ハンニバル・ワールド」は、美しくかつショッキングだ。クラリス役は・フォスターからJ・ムーアに変わり、監督もJ・デミからR・スコットにバトンタッチ。原作はトマス・ハリス。(斎藤 香)




9月1日
冷夏と思いきや急に暑くなったり、また寒くなったりで、別の意味で夏バテになりそうです。 小泉首相の再選が確実視されますし、経済状況も多少は落ち着いてきたので、何となくホッとした雰囲気が出てきたのではないでしょうか。 流石の関西地区の失業率も下がっているようです。 阪神は元気だし何とか上昇気流に乗って欲しいものです。

火星の大接近で大騒ぎ。今夜が一番とかニュースで言っていましたが、彗星や流星と異なって1ヶ月ぐらい違ってもそんなに違いはありません。 また6万年ぶりの大接近と言いますが、接近は常にあって、今回の大接近と前回の大接近との差はほとんど一般の人が見ても分からないくらいわずかなものです。 ほとんど見えなかった以前に比べて既に探査機が着陸したり、火星の衛星になって写真をどんどん送ってきているので、いまさらぼやけた望遠鏡で見てもあんまり感動しなくなったのではないでしょうか? とは言うもののブームが去った後の望遠鏡の安売りを期待して狙っています。

今月は、いつかのコンピュータのお話の続編です。 これからどうなるのか? です。 最近の雑誌を見ていたら量子コンピュータの事が出ていたので、以前は眉唾と思っていたのですが、少し勉強してみました。 量子コンピュータの動作原理はこれまた面白い話があるのですが、その前に何に使えるか? と言うと昨今住基ネットなどで問題になっている暗号(もしくは本人認証で結局は同じこと)に使えるのです。 面白いことに、量子コンピュータが完成すると現在の暗号技術はほとんど使い物にならないと言うか、短時間で破ることができるようになります。

そもそも暗号と言うのは時間を書ければ理論的には必ず解けるもので、一般に「解けない」と言うのは現状の方式のコンピュータで100年かかるとか1万年かかるとか言うことなのです。 それならコンピュータの数を増やしてやったら1台で1万年かかるのなら、1万台のコンピュータで1年かけたら解読できると言う計算になり、実際に世界中で数十万台のコンピュータを使って解読している例もありますし、これを商売にしてグリッドコンピューティングと言う計算商売が現実に成り立っています。 現在の暗号のほとんどは逆計算が難しいものを使うのが原理です。 素数の掛け算 3x7x13x・・・ と言うのは電卓でも簡単に計算できますが、逆に1つの数字を与えられて、それを素因数分解するのはこれは大変で、2000桁の数を素因数分解しようとすると宇宙の全ての分子で最速の計算機を作って、それを宇宙の寿命動かしても解けない、と言われています。 これが「解けない」の正体です。 一般には情報は一定の時間だけ秘密にしておけば後は公開しても意味が無いものがほとんどで、例えば試験問題の回答はその試験が終了する時間だけ持てば良いことになります。

何故これが量子コンピュータと関係あるのか? と言うことですが、量子コンピュータは動作原理が現在のコンピュータと全く異なるので、このような計算が物凄く得意で、あっという間に逆素因数分解を計算してしまいます。 ついでに言うと、量子コンピュータはこれしか能が無くて他のことはほとんど現在のコンピュータで間に合いますので、現時点では量子コンピュータは暗号破り専門と言って良いと思います。

しかし、さらに面白いことに、この量子コンピュータの原理を使うと、これまた絶対に破れない暗号システムを作ることが出来るのです。 だから量子コンピュータが完成して現在の暗号を破る事が出来るようになると、今度は量子暗号を使うことになるのです。 世の中は面白く出来ていますね。

さて、それなら何故このような事の出来る量子コンピュータの動作原理はどうなっているんでしょう? 簡単に言うと2つの量子(一般には光子が使われます)を重ね合わせとかもつれ合いとか言うようですが、要するに同じ状態にしておいて、これをバラバラに離します。 この距離は何光年離れても良いのですが、この片方の光子の状態を変えてやると、あら不思議、遠く離れたもう片方の光子も同時に同じように変化するのです。 これは非常に不思議で、情報の速度は光を超えないと言う相対理論に反します。 少なくとも相対論のアインシュタインは、これを量子力学を否定するパラドックスだとして、ポドルスキー、ローゼンとともに論文を発表しました。 これは3人のイニシアルをとって、EPRパラドックスと呼ばれています。

結局その後そのような現象が確認され、これはパラドックスでも何でもなくて、量子力学の正しさを証明することになってしまったのです。 アインシュタインは結局は古典物理学の最後の花を咲かせたので、それ以降は我々でも(我々だから?)直感的にも理解できない量子力学が主流となって行きます。 それの結実が量子コンピュータなんです。 しかし現在でも量子力学と相対論は素粒子物理学や天文学の大きな基礎になっていて、これに取って代わるものは未だに現れていません。 ポイントは重力の取り扱いで、相対論は重力を古典的に究極に理論化したもので、片や量子力学は重力の量子化にはまだ成功していません。 スーパーストリング(超ひも)理論がそれに近いとここ10年以上も悪戦苦闘ですが、最初のダッシュは良かったんですが、それ以降の進展は遅々としています。


いわゆる「トンデモ」系の本にはアインシュタインが間違っている、とか世の中の学者はアインシュタインの相対論が理解できないので、頭から信じ込んでいる、とかいう話が多いのです。 しかしアインシュタインはこの他にも、宇宙定数でも間違っていたとして、人生最大の誤りと言ったと伝えられますが、これは最近正しかったのではないか、と言われています。 むしろどうしても理解できなかった量子物理学への理解が大いなる誤りであったと言うことで、天才にも限界があったと言うことでしょう。

ついでに言うなら、中間子で有名な湯川秀樹博士などは我々は小学生の頃に習って神様のような存在でしたが、結局日本的な2元論からどうしても抜け出れなくて、ゲルマンのクウォークが3つ存在すると言うことにはどうしてもなじめなかったようです。 小学校の頃に習った「自然は美しく出来ている」と言うような文章があったと思いますが、博士にとって3と言う数字はどうしても美しくないと言うことでしょう。 ちなみに3と言う数字は最近話題の「三位一体」と言う言葉で分かるようにキリスト教の影響が大きく出ています。 南部陽一郎とか坂田昌一とかノーベル賞をブンブンにもらって良いような人が今一歩のところで逃したのは、こういう所に原点があるのではないかいな、と感じます。

話を量子コンピュータに戻すと、2つに離した光子の片方を観測する(要するに見る)と観測することでその光子の状態が変化する(この辺りはまたまた面白い話があるのですが次の機会に)。 その変化がもう片方の光子に(瞬時に!)伝わって「見た事(要するに盗み見られた)」が分かる(検出出来る)のです。 実際にこれを行うためには光子を一つずつ送ってそれを受信しないといけないのですが、最近相次いで光ファイバーを使ってこれに成功したと言うニュースが伝えられています。 さらに特殊な用途では実用になりつつあると言うことです。

コンピュータの計算はどうやってやるかと言うと、人によって説明が異なるのですが、量子的な重ねあわせが出来るので、2のn乗の状態が実現できる、つまり2個で4状態、4個で16状態、6個で64状態と増えるので並列計算が容易になる。 また、私も詳しいことは分かりませんが、重ねあわせにより、不要な計算をしなくて良くなると言うことらしいです。 いずれにしても現段階では素因数分解のための解法が作られているだけで他の応用はこれからと言うことになります。

まあこう言う変なことがミクロでは起きる世の中に住んでいるんですね。 アインシュタインが言ったように「我々が宇宙を理解できるほど世の中に不思議なことは無い」。

さて今月の読み物ですが、8月はやはり戦争ものでしょう。 その中でも当事者が書いたものは、臨場感があります。 「ミッドウェー」PHP文庫 淵田 美津雄, 奥宮 正武 (著) 価格:¥838。 この他にも「真珠湾攻撃」と言う本もあります。

日本軍はアメリカ太平洋艦隊が本拠とするハワイ・オアフ島の真珠湾に奇襲攻撃をかけました。淵田美津雄中佐はこのときの攻撃飛行機隊総指揮官で、爆撃機上から真珠湾攻撃を指揮し、奇襲成功を意味する「トラ、トラ、トラ」という有名な電文を発した人です。そして、戦後はキリスト教の伝道師となってアメリカに渡り、イエス・キリストの福音を伝える働きをした人です。

淵田美津雄は、ミッドウェーで機動部隊の旗艦である空母「赤城」に搭乗し、戦地に向かっていました。しかし洋上で盲腸炎になってしまい、急遽開腹手術をすることになったため、作戦には参加できなくなってしまったのです。ミッドウェー作戦の時、淵田は病み上がりで戦闘を「見物」することしかできませんでした。 そしてこのとき、機動部隊を率いる南雲中将の決定的な判断ミスにより、赤城・加賀・飛龍・蒼龍の4隻の空母を失うこととなったのです。 淵田は沈む赤城で爆風にとばされて両足を骨折。帰国し療養生活を余儀なくされました。日本は厳しい情報統制下に置かれており、ミッドウェーでの大敗も国民には極秘とされていました。そのため、この戦闘の全容を知る淵田は病院に「幽閉」された状態となってしまいます。




8月2日
長かった梅雨もやっと何とか明けたようですが、まだすっきりしません。 株価も1万円を目前に行きつ戻りつで、極端な株安が是正されただけでしょう。 企業の収益も上がっているようですが、これも主にリストラ効果で上がっているだけで、本当の復調はまだまだのような気がします。 先月にも書きましたがデフレがある意味で定着してきているような感じです。

今月の話題は夏になると決まって出てくるもの、「蚊」の話です。 蚊にはいつも悩まされていて、何とか退治をする良い方法は無いものかと散々探しているのですが、なかなか良い方法はありません。 蚊にはたくさんの種類がいますが多いのはアカイエカでしょう。 またコガタアカイエカは水田に発生し、日本脳炎をうつすことで非常に恐れられましたが、最近ではヒトスジシマカが多くなっているようです。 セミも子供の頃は、この辺ではアブラゼミが多く、クマゼミは「カタビラ」と言って貴重品でしたが、最近は生態系が変化したのか、平均気温が上がったのか、クマゼミばかりです。 クマゼミは鳴き声が大きく、特に涼しい朝方に鳴くので、朝はそれで眼が覚めます。

ヒトスジシマカは黒色で、脚、腹部に明瞭な白い模様があり、良く見かけます。 コガタアカイエカやアカイエカは夕暮れ時や明け方に吸血にきますが、ヒトスジシマカは、日中から吸血に来るので屋外での農作業の時や子供が被害に会いやすいことになります。 蚊の幼虫はボウフラですが、これがどこでも発生します。 ちょっとした水溜りや空き缶や空きびんの中の水溜りでも発生しますので、このようなものをこまめに取り除くことで被害を最小にする事が出来ます。

蚊はいろいろな病気をうつします。 日本脳炎もその一つですが、最近ではほとんど無いようです。 また、日本には無いようですが、熱帯地方ではマラリアも蚊によってうつされますので注意が必要です。 最近、アメリカ特に東海岸で西ナイル脳炎という病気が流行していて住民は恐怖におののいていると言うことです。 1999年8月から9月にかけて、米国ニューヨーク市Queens区北部で主として45才以上の成人に四肢の脱力感を訴える急性脳炎の患者の集団発生が報告され、最終的に7名が死亡しました。 この患者発生に先立ちニューヨーク市内の各所でカラスなど多数の野鳥や馬が西ナイルウイルス原因でが死亡。 捕獲されたアカイエカから西ナイルウイルスが分離されるに至って、大規模なアカイエカ退治が行われたようです。 それ以来だんだんと西の方に感染地域が広がって、日本にも流行が起こるのではないかと心配されています。

そもそも西ナイルウイルスは1937年アフリカのウガンダで最初に発見されたウイルスで、なぜこれまでに流行しなかったのかは謎です。 米国CDCの報告によればヒト、トリ、ウマからのウイルスゲノムの塩基配列分析結果ではニューヨーク流行ウイルスは1998年イスラエルで分離された株に近似していたということで、ヨーロッパから持ち込まれた公算が大きいと言うことです。 日本でも対策は必要で、海外から西ナイルウイルスを持った蚊が入り込まないように、国際線が到着する国際空港では、蚊の捕獲調査を行っているそうです。 また厚生労働省は、2002年11月に、ウエストナイル熱を「全数届出対象四類感染症」に指定しました。

ちなみに、日本では西ナイルウイルスに感染しやすいといわれているカラスが多数生息しています。2001年暮れに行われた調査では、東京都内の中心部に推定3万7000羽が生息しているといいます。 またオウム、インコなど、感染源となりうる野鳥が多数輸入されていて、1999年当時の厚生省研究班の調査では、年間推定60万羽輸入されていたといいましす。

結局、最終的には蚊退治を行わないといけないのですが、蚊取り線香では心もとないと、特にアメリカでは前述の西ナイル熱騒ぎがあったので、蚊を捕獲する機械が相次いで発売されました。 基本的には蚊は人間や動物が発する炭酸ガスと体温を検知してやってくるので、それと同じ仕掛けを作って集めておいて、一網打尽にしようと言う原理です。 炭酸ガスと温度はプロパンガスを少しずつ燃やして発生させるのが一般的。 この時同時に温度も上がります。 中には炭酸ガスボンベを使う機種もありますがプロパンに比べてガスの入手が問題です。 一番最初に売り出したのが Mosquito Magnetで沿岸警備隊が使っていると言うのが売り文句。 日本では外車を扱っているヤナセが輸入販売をしています。20万円ぐらいもして、蚊取り線香に比べてあまりにも高価ですが、最初の年は完売したようで、問い合わせた時は在庫がありませんでした。

多大の手間をかけて直接アメリカから購入しましたが、その効果はと言うと、値段ほどは無いのではないかと思われます。 元々の期待が大きかった性でもあるのでしょうが、動作させている近くに行くと早速たかってきますので、完全に近くの蚊がいなくなると言うわけでもありません。 かといって全く取れないわけでもなくて、空気で吸い込むのですが結構沢山採れています。 蚊が多すぎるのか、アメリカの蚊とは好みが違うのか。


蚊と言えばモスキート。 モスキートと言えば、FDで動くLINUXです。 オープンソフトで有名なLINUXをFDで動くまで小さくしたもので、なんと日本生まれです。 ネットワーク機能は充実しているので、ネットワークを介して操作するようです。 またADSLでおなじみのブロードバンドルーターがこれで実現できるそうです。 古いPCが転がっていたら、ディスクは不要ですから、マザーボードとFDだけでルーターを作れるようです。 お試しあれ。

今月の読み物は、ちょっと専門的になりますが「飛行の神髄」 講談社プラスアルファ文庫、加藤 寛一郎 (著) ¥980。 もっと硬い本かと思って読んだのですが、これがなかなか面白い。 著者は東京大学のれっきとした航空工学の元教授ですが、一般向けにこのような著書が多くあります。 専門的なことが煩わしい人は、その部分だけ飛ばして読めば面白いでしょう。

神業としかいいようのない飛行を、当たり前のようにこなしてしまう飛行機乗り。 それは、どんな人間なのか!? 飛行の誇りと危険に賭ける熱き男たちに共通するものは、一体何なのか! 著者自らもF‐15イーグルに搭乗。 G6.5の世界に挑み、酸欠と加速度の怖さも体験!!究極の飛行のすべてを、ここに明かす。(「BOOK」データベースより)

中でも私がもっとも気に入っているところは、著者がヘリコプターに元戦闘機乗りの気難しいパイロットと同乗している時に、ヘリコプターからは決して見えないが著者は知っている電線が前方に張られている事をパイロットに知らせたのですが、これがパイロットの自尊心を傷つけた。 その後の着陸の時に、エンジンを止めて垂直バレルロールで真逆さまに急降下、地面に落ちる寸前に機体を水平にして、着陸場所にぴたっと付けた。 と言う場面です。 自分の持つ最高の技術を見せ付けたいと言うパイロットとその場面を成り行きで招いてしまった著者とのどちらの心境も実感があって私の好きなところです。 特にヘリコプターの飛行原理については懇切丁寧に解説されていますので、お盆休みにでもゆっくり読んで見てはいかがでしょう。





7月5日
とうとう本格的な梅雨に入ってきました。 それに反して株価のほうはホットな動きが続いています。 前回株価が上がると書きましたが、それ以上の動きで警戒感も出てきています。 全体的に見るとデフレが定着してきて、それなりに動き始めたような気がします。 年収300万円時代とか言うような本が売れたようですが、人々の生活水準がデフレにマッチして来て、またそれなりに企業の業績は良いわけですから、あんまり不況不況と騒がずに現状に合うように我が身を変えていくと言うことでしょう。 身の回りの出来事でも少しまえからそのような現象が見られるようになって来ました。

前回はPCと映像の話でしたが、今回はその続きです。 アメリカで買ったDVDが沢山あるので、DVD再生機もアメリカで買ったものを使っていました。 ひょんな事から日本の物で試して見ることになり、いろいろ調べてみました。 TVに繋ぐ再生機は買わないといけないので、PCに付いているDVDドライブでPCの画面で見ることにしました。 これならヨーロッパのPAL方式のTV信号の問題も解決でき、世界中のDVDが見れるはずです。 以前からアメリカのDVDは日本では再生できないと分かっていましたので、それを調べたた「リージョン番号」というのが世界の各地で割り当てられていて、DVDのコンテンツとドライブの両方のリージョン番号が一致しないと駄目と言うことです。 アメリカは1、日本は2ですので、これは駄目と言うことになります。 変と言うかおかしいことに日本とヨーロッパは同じ2番で、この地域間では問題が無いことになります。

販売されているDVDの中にはリージョンフリーと言って地域の限定が無いものもあるようなので、購入するときに良く確かめないといけないようです。 特にヨーロッパのものはPAL方式で映像が出てきますので日本のTVでは表示できません。 PCに付属のDVDドライブを使うとこのような問題はなくなります。ちなみにアメリカ製のDVDをPCのDVDドライブで再生してみましたがうまくいきました。 まずドライブのリージョン番号を変更します。 OSがXPであれば、ドライブのプロパティの中のさらにハードプロパティに地域設定というのがあって、これを目的の国に設定するとドライブはOKです。 このままですとまだ映像の再生は出来ませんので、DVDドライバないしは再生ソフトをインストールします。 今回は英語版のソフトがあったのでそれをインストールしましたので、そのまま再生できました。 OSがXP以外だと少々厄介かもしれません。 ただインターネット上にはドライブのリージョン番号を書き換えるソフトが多くありますのでそれで書き換えればよいと思います。 検索エンジンで辛抱強く検索をしてみてください。

DVDは規格がいろいろあって、なかなか使いにくいものです。 通常のDVDはCDと同じようなものですから、これは良いとして、問題は記録可能なものです。 これには大別して2種類あります。 まず、パナソニックのDVD-RAM。 これは書き込み可能回数は多いのですが通常のDVDプレイヤーでは再生できません。 元々映像を録画する大容量メディアにDVD-RAMしかなかったので無理に作ったのがこれです。 基本的に自分で録画して自分で見る事が目的。 従来のビデオが結局はTVを見る時間が無くて録画してみると言う使い方が多かったためこのようなものが出てきた背景と思います。 従って通常のDVDと互換性をとる優先度が低かったので、互換性はありません。 その後にディスクの容量が大きくなってきたので、これにに記録するものが出てきて、これが大体120GBぐらいあるので、DVDの30枚分に相当します。 自分で書いて自分で鑑賞する分にはこの方が操作が速くて便利です。

RAM以降に出てきたのがDVD-RWで通常のDVDと互換性はあるが1000回までしか書けない。 しかし実用上はこれで十分ということです。 これが出たときはかなり反響が大きかったような気がします。 やはり互換性は最大の問題でしょう。 一方、RWで書いたものをRAMで読むことや反対のことは、最近のドライブでは出来る見たいです。 更には次世代の光ディスクなどが予定されていて、この分野はまだまだ混沌としています。

現在使っているPCの表示は1600x1280なのでこれで見ると極めてきれいに見えます。 いつか飛行機の前の席に乗ったインド人らしいのがPCで映画を見ていたので、思わずそれは新製品か? と聞いたのですが、相手はきょとんとして、これはただのDVD再生だと言っていましたので、私がかなり遅れていたのでしょう。 最近のノートPCはDVDドライブも搭載していますので、これを使って映画を見ることも無理なく出来るようになりました。 バッテリも最近は4-5時間持つようになったので、物凄くもったいないような気にはなりますが、PCで映画を楽しむのは特別でもなんでもなくなりました。

初期のコンピュータのENIACが作られた頃は、まさか映画をノートブックコンピュータで鑑賞するようになると予言出来た人はいないのではないでしょうか? 10年前でも話はありましたが絵空事としか思われませんでした。 アランケイがダイナブックと言う概念を持ち出したのは35年も前だったと思いますが、当時はまったく創造も出来ませんでした。 その後T社がノートブックを開発し、その名前にダイナブックと付けた時は、事情を知っているものはみなびっくり仰天したものですた。

アランケイは元音楽家と言われていますが、カレッジを退学になってロックバンドでギターをひいていたりしたらしいとの事。 1968年に早くも未来のパーソナル・コンピュータのイメージ「ダイナブック」のコンセプトを発表しました。その後1972年に有名なゼロックスの パロ・アルト研究所に入りパーソナル・コンピュータの原型となる 「アルト」を開発したとの事。この時アルトを結ぶネットワークとしてイーサーネットの原型がメトカルフによって考案され、その後のコンピュータの原型を作っていくことになります。

アランケイはこんな事も言っているようです。「コンピュータは,他のいかなるメディアー物理的には存在しえないメディアですら,ダイナミックにシミュレートできるメディアなのである.さまざまな道具として振る舞う事が出来るが,コンピュータそれ自体は道具ではない.コンピュータは最初のメタメディアであり,したがって,かつて見た事もない,そしていまだほとんど研究されていない,表現と描写の自由を持っている.それ以上に重要なのは,これは楽しいものであり,したがって,本質的にやるだけの価値があるものだということだ」。

私もこのアルトに引き付けられた一人で、これは将来のコンピュータの姿に違いないと、直感的に思いました。 いまだにその写真は良く覚えています。 ディスプレイが縦型になっているのが印象的で、その後に縦でも横にでもなるディスプレイを作ったことがあります。 大きなケースのバックを一体で作ったので物凄く大きな金型が必要になった事を覚えています。

こういう意味では過去少なくとも30年間は基本的なパーソナルコンピュータと言うジャンルで物事は一直線に進んで来たことになります。 歴史では良くあることですが、その当時の渦中にあると物事の本質がなかなか見えないものですが、一度立ち止まって振り返ると、過去の景色は物凄く良く見えてくるものです。 サウンド、ビデオとほぼ実用になってきた現在は過去30年間の総決算の時代なのかもしれません。 もう後30年経ったら(生きていないかも知れませんが)、またこの時代が良く見えてくるに違いありません。 おそらく小さなチップに2時間の映像がいくつも入っていることでしょう。 映像はファイバーによって、ほぼ瞬時にダウンロード出来るに違いありません。 ちょうど現在音楽がMP3によってチップに何曲も入るように、映像がそのようになっていくでしょう。

1996年の11月号に当時のCOMDEXの記事がありますが。これによると2011年にはクロックが10GHzになる、とあります。 当時はびっくりしたものですが、既に3GHzは達成できているので、2011年を待たずして、ここに書かれていることは実現出来るでしょう。 また同時に書いているように、人間の脳細胞のレベルと数ではだんだんと似てくるので、本格的な人工知能がなんらかのブレークスルーを伴って出現するのではないか、と感じます。 ある程度、数が多くなってくると自己組織化が起きて物事の本質ががらっと変わると言われていますので、このような事が起きる可能性は極めて高いと思います。

今月の読み物は「JFK―ケネディ暗殺犯を追え」ハヤカワ文庫NF ジム ギャリソン (著),岩瀬 孝雄 (翻訳) 価格:¥718。 沢山のJFK暗殺関連の本が出ていますが、中にはキワモノも多いので選び方は慎重にすべきです。 本書はケビンコスナー主演で映画にもなり、その映画も途中で中止にされそうになったなど、いわくつきのものです。 原作は事件当時ルイジアナの地方検事だったジムギャリソン。 著者は、ふとした事からフェリーという男が事件に関係しているらしいと、調査を開始。もう少しで宣誓供述書を取れるという時、彼の不審な死に直面する。このため彼の仲間だったクレイ・ショウを裁判にかける。本書はこの裁判に著者が敗れるまでの記録である、その後、彼の追及した方向は間違っていなかったことが明らかになっている。 著者が本書の中で言っているように、単にオズワルドがルイジアナで事件を起こしていたので担当しただけで、まさかCIAなどの政府が関与していたとは思いもしなかったと言うことから事件は予想もしない方向に発展していきます。 実際に担当した検事の話ですので、臨場感は十分。 私もダラスの現場に行った事がありますが、本当に当時のままに残っていて、狙撃の場所と言われる教科書ビルも資料展示館として残っており、狙撃したと言われる窓からも眺めることが出来ます。

現実に大国の大統領が狙撃されているにも関わらず、その捜査は杜撰の一言です。他にもマフィアの陰謀とする説などいろいろありますが、その後のウオーターゲート事件を見ても、もっともありうる話だと思います。 また、ルイジアナと言う地理的な要素も大きく、キューバと目と鼻の先のフロリダに近いこの地も行った事がありますが、ある意味ではアメリカではありません。 少なくともサンフランシスコやニューヨークとは全く異なる場所というイメージです。 現地に行った事があるのでさらに興味深くこの本を読みました。 フェリーやクレイショーの写真もありますが、これが本当の事かと思うほど奇怪な背景があるようです。 基本的にはJFKが支援しなかったと言うピッグス湾事件が全ての元になっているようです。 最近でも何かあるとピッグス湾が話題に出ます。 あんまり目立ちませんが良くも悪くもアメリカの特に軍事行動の原点にあることは間違いありません。