「今月のひとこと」の目次 毎月一回はその時々のトピックスをお送りしています。 2002年 6月 2日 5月 8日 4月 7日 3月 3日 2月 3日 1月 1日
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6月2日
最近はやたらと円が上がってきて、本当に日本の経済状況は良くなってきたのか、と思っていましたが、これはどうも円高ではなくて、ドル安みたいです。 ユーロがあんまり下がっていませんから。 と言うことはアメリカの調子がまたぞろ悪くなって来たと言うことでしょう。 ITバブルの崩壊の次に金利を下げたための土地バブルが発生しているようです。 日本ほどひどくは無いようですが、ニューヨークの周辺とかシリコンバレーではかなり地価が上昇しているようです。 元々アメリカの家計は貯蓄がほとんど無く、いわば総サラ金漬け状態で個人消費が旺盛と言われていたのですが、これが一度転ぶと大変なことになって、日本の土地バブルどころではなくなってきます。 ちなみに現代的なバブルの元祖はチューリップバブルであるとされています。 アメリカのFRBでは日本の何年か前と同じく「何でもあり」の政策を検討してしているようです。

アメリカには日本のようなサラ金は無いのですが、クレジットカードがその代わりをしています。 もっとも「クレジットカード」という名前そのものがお金を借りると言う意味があるわけで、日本のクレジットカードは導入された時に銀行系の会社が業務を行ったので絶対に確かな個人しか相手にしなかったため、単なる現金の代わりと言う意味合いが強くなってしまいました。 アメリカのクレジットカード(サラ金)の利率はそんなに高くなくて、公定歩合に1-4%程度加えたものですから、最近の公定歩合で行くとかなり安くなります。 車も現金で買う人はほとんどいなくて、個人リースがかなり多いようです。 ベンツとかBMWとかの高級車はほとんどリースであると言われています。 いわば全アメリカがバブル状態で個人消費を行っていると言うことでしょう。

日本のバブル崩壊のときも株価のピークから2-3年かかって段々と落ちていますから、アメリカの株価のピークから言うとそろそろまた一段と下がって来て、 7月あたりが再びポイントになってくるのでは無いでしょうか。 こう言う意味では同時テロよりエンロンの方がアメリカ経済にとってはダメージが大きかったようです。 同時テロが無くてもいずれはエンロン問題が出てきて、経済に打撃を与えたことでしょう。 エンロン問題はその負債の大きさもさることながら、損失のいわゆる「飛ばし」が大規模に行われていて、世界で一番オープンで公正とされていたアメリカ会計基準でも発見できなかった、と言うことは信用金融の世界に大打撃を与えました。

ITの活用で日本とは比較にならないほどの規模に出来たのです。 こう言う意味ではバブル崩壊後の日本とあまり変わったこともなく、日本は周回遅れになってしまったと思っていたのが、アメリカの方が遅れていたと言う事になるのかもしれません。

こう言う事もあってか、最近は「元気を出そうぜ」という論調が多くなっているような気がします。 「失われた10年」と言われつづけ、期待を持った構造改革も挫折しそうだし、このまま落ち込んでいくのか、と言う思いに捕らわれたのですが、他の国も大変なんだ、問題を抱えているのだと言うことが段々と分かって来て、もう少し頑張ってみようということです。 日本全体が何となくやる気をなくしていますから、ここらでもう一度頑張ってみようではありませんか。

日本の国債の格付けが2段階も一気に引き下げれましたが、ODAを受けているボツワナ以下と言うのはおかしいと政府を挙げて反論をしているようです。 ボツワナ自体はそんなに悪い状態ではないと言う話もありますが、米国債も$310B 40兆円ほど保有していますし、各国が持つ日本国債はゼロに等しく、実態をキチンと反映していないのでは無いかと言うことです。 しかし、将来は本当に不安で、緊縮財政にしろ、財政出動にしろ、どっちかの政策をキチンと信念を持って実行することしかないでしょう。 今度は本当のラストチャンスになるでしょう。 銀行の3月決算は内部の含みを全て吐き出してしまい、来年の決算の見込みは全くつかないのが現状ではないですか。 恐らく今度は、また財政に寄る景気浮揚が図られるのでしょうが、少なくとも無駄を廃して、効果のあるところに一気に注ぎ込まないと、その次は本当に奈落の底でしょう。


今月の本は、『続・日本国の研究』(文藝春秋)です。 小泉内閣のブレーン猪瀬直樹の本で、変な作家がやっている、と言われているので興味を持って読みました。 1238円。 内容からすると文庫本で十分でしょう。 「日本国の研究」の続篇ですが、こちらは1996-8年頃の「週刊文春」の連載をまとめたもので、時事的な文章の集まりです。 しかし時間の差を感じさせません。 また小泉改革の原点がここにありました。 いろいろな話題があったのですが、その中で面白かったのは、法的にサラリーマンは納税者ではないということです。 あくまで法的ですが、法律では納税者とは確定申告をした人と、源泉税を納める人(法人)で、源泉税を「取られている」サラリーマンは納税者では無いということになります。 私も税金はアメリカと同じように各人が確定申告を行うべきと思っていましたので我が意を得たりと言う感じで読みました。 これは単に法律論議のように見えますが、これが遠因になって、税金の使い方の監視がおろそかになって、結果的に特殊法人などが増える原因になったのではないかと思います。 そう言う意味では普通選挙が実施される前の税金を納めた人だけが選挙権を持つというのは、一面うなづける点もあります。

トーゴーサンピンとか言われて、サラリーマンの税金の補足率が問題になったことがありますが、それ以降サラリーマン(給与所得者)の控除や最低課税点が引き上げられ、最近では税金の事で文句を言う人は少なくなりましたが、結果的に約20%の人が80%の所得税を負担し、全く税金を払わない人が半分を越えています。 国家安全や行政サービスをただで受けているわけで、やはり選挙権のある全国民は少なくとも何がしかの税金を負担し、その行方を監視しなければなりません。 消費税で払っているではないか、と言う議論もありますが、一体いくら納めたのか明確ではありませんので、納税意識ひいては国政意識を持つには少々ぼんやりしていると言わなければなりません。






5月8日
10日間もの大型連休でボケたのか、本欄の更新を忘れていました。 来年の連休は振替休日も無くほとんど連休と言えないようなものになりそうです。 政治も経済も連休明けからが本番のようで、企業では正式の決算発表と株主総会が目白押しです。

最近「ホットスポット(サービス)」という言葉を良く聞くようになってきました。 これは無線LAN技術を使ったインターネットアクセスサービスの事ですが、PCとアクセス用のPCカードは自前で用意するので、提供側としては簡単に用意できるメリットがあります。 喫茶店とかでサービスしているところが多くなりました。 最近ではソフトバンクがマクドナルドと提携して、マクドナルドの店でインターネットが使えるようになるようです。

設置は極めて容易で、無線ルーターを用意するだけで、PCに1万円くらいの無線カードを差し込んで、IDパスワードをセットするだけで使えるようになります。 店側としてはADSLのアクセスと3-4万円の無線ルーターを設置するだけで良いので急速に広まりつつあります。 無線カードは自分の家に無線ルーターがあればそのまま使えますのでイチイチLANケーブルを繋ぐ必要もありません。 一般的にホットスポットサービスは最大11Mビット/秒の無線LAN方式「IEEE802.11b」が使われています。 まあ通常のLANの速度と大差ないと思っていただけると良いでしょう。 通常の10Base-T と大差は無い(半分ぐらいにはなりますが)のですが、最近の高速LAN(100Base-T)に慣れて、それで画像データなどをドンドン送っている方は少々物足らないかもしれません。

最近では、5GHz帯を使うものが登場しましたが、まだまだ互換性が無く、速度もそんなに高くは取れないようなので、浸透はイマイチです。 しかし最近NTT東日本がAWA方式でサービスを始めましたので、一般的になるのは時間の問題ではないでしょうか。 AWAは,5.2GHz帯の無線周波数を使う無線通信方式の電波産業会(ARIB)規格「STD-70」に準拠しています。 詳細仕様はMMAC(マルチメディア移動アクセス推進協議会)が標準化したため,MMACでの規格名をとって「HiSWANa」(ハイスワン・エー)とも呼ばれています。 規格上の最大伝送帯域は54Mビット/秒ですが、今回の試験サービスでは,ノート・パソコンやPDAのデータ処理能力を考慮し,1端末あたりの最大データ通信速度は2Mビット/秒に抑えているとの事です。

JR東日本は日本テレコムと山手線の主要駅でのホットスポット実験を実施しています。 東京駅、新宿駅、渋谷駅、上野駅、品川駅、横浜駅に加えて、成田空港駅、空港第2ビル駅でも利用できるようになったようです。 駅の中の喫茶店や待ち合わせ場所などで、気軽に無線による高速インターネットを体験出来ます。 現状は ODN、JENS SpinNetなどのユーザーしかモニターとして利用できないようですが、将来はプロバイダのユーザでなくても利用できるようになります。 東京駅および上野駅の総合案内所「ステーションコンシエルジェ」では、その場でIDを発行する「一時利用サービス」が利用できます。 また、端末の無料貸出しが東京駅、上野駅でもご利用できるようです。

変わったところでは、100円駐車場の大手が駐車場でホットスポットサービスを開始しています。 車に乗ってちょっと一休みでインターネットアクセスと言うところです。 これから行く所とか、レストランの情報とかをアクセスするのにちょうど良いのではないでしょうか。 駐車場側も駐車場料金が稼げてお互いハッピーと言うところでしょうか。

ホットスポットの最大の弱点は、IDパスワードをあらかじめ発行してもらって、自分のPCにセットしておかないといけないと言う事です。 全てのホットスポットで使えるIDパスワードを決めると言う方法も提案されてはいますが、なかなか浸透しないようです。 またセキュリティも悪いようですから、利用には気をつけてください。 人にファイルを覗かれます。

無線関連の話題が続きますが、画像の無線通信のお話です。 写メールでJ-Phoneが躍進したように画像のニーズは多くあるはずですが、画像データをバンバン扱えるドコモFOMAの評判は芳しくありません。 いつか本欄でもコメントしたように基本的に料金が高すぎるのです。 いくら技術的に高度でも顔を見ながらの電話は料金が低ければそれなりに良いでしょうが、高い料金を払ってまでやることではないでしょう。 20-30年前にもTV電話の可能性を真剣に検討した事がありましたが、うまくいきませんでした。 今回を入れると大きく見ても2回目の挫折でしょう。

しかし、FOMAのデータ通信用のPCカードがなかなか面白いです。 通信速度は64Kと低いものの、プロバイダ側のインタフェースがISDNと同じで良いと言うことで、現状のプロバイダのほとんどが64KのISDNをサポートしており、プロバイダ側の問題はほとんどありません。 しかも料金は接続時間つまり通話時間で課金され、その料金も現状のケータイとの差異化のため低く抑えられているので、ケータイで9600BPSでトコトコやるのと64Kでやるのとでは接続時間が同じなら逆に安くなると言う現象が出てきています。 外部アンテナも付属しており、安定した通信が出来ます。 ちなみに新幹線の列車の中でやってみると、PHSでは不安定だったのが極めて安定して通信できました。 流石に動き出すとしばらくして切れてしまいましたが、山手線ぐらいの速度ですと通信できるのではないかと思います。

眉に唾をつけましょうと言う訳でもないのですが、今月の本は「奇妙な論理」で、「だまされやすさの研究」と言う副題がついています。 文庫版で上下2冊ものですが、中身が独立の何章にも分かれており、少しずつ読めます。 世の中には如何に擬似科学が多いか、またそれを信用する人が如何に多いのか、唖然とさせられます。 特に食事療法や民間療法の分野にそれが多いと思います。 地球が平たいとか、中空になっているとか、最近ではTVで、アポロの月着陸は地球でロケしたものであるとかの話です。 これくらいなら笑い話で済ませられるのですが、変な民間療法で助かる命も助からなかったと言うことになれば冗談では済ませられません。

最近のTVでは魔術と称して奇術が演じられていますが、これはユリゲラーから流行したものです。 私も霊魂の存在については懐疑的ですが、有名なライン博士のエスパー実験が行われ、これを学生の時に読んでその方法論に感銘を受けたものでしたが、この本ではそれも不十分あると言うことが良く分かりました。 もちろん空飛ぶ円盤やアトランティス、ムー大陸などなど、興味深い話題ばかりです。 このような本を書くのは大変でその文献すら入手が困難です。 この困難な作業を行い、それを翻訳であるにも関わらず、軽妙なタッチで小気味良く記述したのは科学解説書で有名なマーチン・ガードナーです。 彼は手品の使い手でもあります。 「奇妙な論理I II」社会思想社、現代教養文庫 市場 泰男 (翻訳) 各¥640。







4月7日
とうとうペイオフが解禁と言うか実施されましたが、ペイオフ対策は如何ですか? 取り敢えずは定期預金を普通預金に移す事で対策は良いのでしょうが、来年には普通預金もペイオフの対象になり、これが本格的なペイオフ実施となります。 まあこれを機会に資産の見直しを行っては如何でしょう。 身近なところではマンションの管理組合の資金が問題ですね。 チョット大きなマンションの管理組合では1億円単位の積立金があります。

金の1Kg(約140万円)の延棒も良く売れているようですが、金は結局ドルと連動していますので現在金の価格が上がっているのはドルが上がった事が大きく効いているのでしょう。 円もドルも暴落する事は少なくとも現時点ではあり得ないのでドルを買うつもりで金を買っておいても良いと言う事でしょう。 もっとも手数料とか消費税とか高くはつきます。 それにしても世の中にはいろいろ考えている人が如何に多いかと言う事でしょう。 またぞろ家庭用の金庫が売れているそうです。

先月の本欄で株価が上がったと言うことでしたが、結局あのまま上昇して、いわゆる3月危機は幻に終わったようです。 結果的に株の空売り規制とアメリカの株価の上昇がちょうどマッチして、急激なアップになったようです。 これには空売り規制をかけた政府関係者もビックリとの事。 この状況は2年前の状況と同じでこれからもしばらく続くという見方もあります。 今後の見方についてはいろいろ意見が分かれており、5月危機、6月危機と続くと言う見方もあり、また東京市場はニューヨークと連動しているので、日本企業の個々の業績とは必ずしも一致しない、と言う見方もあります。 いずれにしても9月まではこの状況が続くのでしょう。 経済状況が一服したと同時に政治の世界では[真紀子]→[宗男]→[辻元]→[真紀子]とスキャンダルが一巡した感があります。 この間では社民党がトバッチリを受けて一人損と言うことでしょう。 ここまでの曝露合戦になると、何となく白けてしまいます。 こんなことをしていて良いのか、と言う気になってきます

こう言うワイドショーネタは置いておいて、これからの日本はどうなるのか、と言う議論が多くなっています。 段々経済的体力が無くなってオーストリー化するとか、IMF管理になるとか、預金が封鎖されるとか、とことんどこまで行くのか? と言う心配が出てきているのでしょう。 今は元気なお隣の韓国でもわずか4年前にIMF管理になった事があるわけですし、かつての英国も長らく英国病を患ったことがあるわけです。 ここで日本病にかかったとしても何の不思議も無いでしょう。 最近では賃金の低減も行われていますが、それなりに豊かで、個人金融資産も1400兆円もあるとの事で、急激におかしくなることは無いでしょうが、段々と衰弱していく事は十分に考えられます。

IMF管理や預金封鎖になる以前に、資産課税が行われるのではないでしょうか。 簡単に言うと保有している預金そのものに税金をかけようと言うことです。 これにより国としては税金収入を増やすこと、資金を使うことに対するインセンティブにもなることなどの効果があって、実態的にはマイナス金利と言う事になります。 個人金融資産の課税可能なものを半分の700兆円としても1%の税率で7兆円の税収が期待できます。 しかしこうなると箪笥預金が増える事も考えられ、 銀行の窓口で箪笥も売っていると言う冗談がありましたが、これが多くなると新円の発行で網をかけてしまうと言うところまで発展するでしょう。

銀行と言えば、昨年末に第一勧銀のATM振込み処理障害があったばかりですが、それとは比較的にならない障害がみずほグループで発生しました。 いくらシステム規模が大きくても複雑でも、純技術問題ならほとんど問題にはならないでしょうが、新聞などをよく読んでみると、合併した銀行同士の主導権争いで方針が二転三転したようです。 システムを握ると経営も握れると言うことです。 それぞれのシステムはその銀行の業務にあわせて開発されていますから、こう言うことになるのでしょう。 振込みの遅れは来週いっぱいには終わるのでしょうが、基本的にツギハギだらけのシステムは残るわけで、システム担当の最高責任者は夜もろくに寝れない事でしょう。

ADSLは延べ8本引いたことになりますが、最近 YahooBB からメールが来まして、解約したモデムを返却してくれとの事。 やっと解約手続きが正式にされたのかと思いきや、Webで確認してみるとまだ手続き中でした。 今年に入って大分改善されたと言うことですが、現場はまだまだ混乱しているようです。 ISPと別料金になって結構高くつきますが、やはり組織の出来上がっているフレッツはキチンとやってくれます。 問題になっている交換局との距離も東西NTTから簡単にWeb上で参照できるようになりました。 8本やってみた感じでは8Mbpsと言えども条件が良くて 2-3Mbps、悪いと 1Mbps以下しか出ないようです。 距離が遠いと高い 8Mbpsより 1.5Mbpsの方が速いと言う事も良くあります。

今月の本は、最悪の場合に終戦直後の状態になったとして預金封鎖のお話です。 ここまで最悪を考えておけば、少しは気が楽になるのでは無いでしょうか。 文庫本で値段も\476(税別)と格安。 話の進行が少々くどい点がありますが一気に読めます。

「あなたの預金が消えていく!―「預金封鎖・カット」のシナリオ」宮尾攻著、小学館 (2001-12-01出版)。 「骨太改革」も空しく、低迷する日本経済。 だが小泉改革には奥の手があった!預金を封鎖し、新円切り替え・一律カット・徴収を断行し、損失補填に当てる「預金封鎖・カット」だ。 昭和21年、敗戦直後の日本で実際行われた政策がいま極秘検討されている!?気鋭のジャーナリストが最悪の事態を徹底分析し、鮮明に描き出す、日本経済震撼のシミュレーション。 実際に「預金封鎖・カット」が行われたとき、国民はどれほどの「痛み」を負わなくてはならないのか?他に道はないのか?「国民の貯金は借金の公的返済に使わせていただきます」これは絵空事ではない。






3月3日
誘致の際のスキャンダルから始まって、いろいろな事件や疑惑に包まれて冬季オリンピックも終わりました。 それにしても今回ほど開会式から閉会式まで主催国ペースで進んだオリンピックも珍しいですね。 ブッシュ大統領も少々やりすぎで開会式から「悪の枢軸」発言まで各国は流石について行けないようです。 日本もとうとう3月危機に入ってきて予断を許さない状況になってきました。 政府もデフレである事を認めて「総合対策」を出してきましたが、ブッシュ訪日に合わせてバタバタと決めた対策のようで流石にこれでは足りないと言う声がたくさんある事はご存知のとおりです。

ここに来て本当に構造改革は正しいのか、と言う論調が多くなってきました。 またブッシュが言っていた不良債権(Bad Loan)の解消は本当に現在必要なのか、「構造改革無しに成長無し」と言うのは本当に正しいのか、と言う雰囲気が多くなってきたようです。 景気を立ち上げないとドンドン不良債権は増えてきて、既に本来の不良債権であるバブル期のものは既に償却を終わって、現在はその後の景気後退で生じた不良債権なのです。 また、竹中大臣がよく言う「サプライサイドの改革」と言うのも気になります。 現状は供給側の能力が有り余って需要が減退していて、デフレ状態になっているのであって更に構造改革で供給側の効率を上げてもデフレが進行するだけでしょう。

つらつら考えると、10年間の反映を謳歌したアメリカでさえ、基本的にはデフレ状況だったと思います。 あれだけの成長をしたにも関わらず人件費はほとんど上がらず、従って物価も上がりませんでした。 人件費の安定はベンチャーのストックオプションによる上昇抑制効果だけでは説明がつかないでしょう。 基本的にはデフレ要因があったと考えるべきです。 また物価も10年前でもかなり安いもので、海外の安いものがドンドン入ってきていました。 体型が良く合うので着るものはほとんどアメリカで買っていました。 また日本製ですら日本で買うより安いと言うようなこともありました。 最近ではDVDプレーヤーが89ドルぐらいで安売屋さんに出ていました。 これらの震源地は中国です。 10年前に中国の人件費が安いのでソフトウエアの会社を作るのが流行りましたが、その後もほとんど人件費の上昇は無いようです。 流石にソフトウエア技術者は欧米の会社が実力主義で給与を払ったので高騰しましたが、当時予想したような人件費の高騰は見られず、現時点では中国が全世界のデフレを引っ張っている状況でしょう。

先週末には株価は大幅に上昇したようで、これで景気は底を打ったと言う見方もありますが予断は許しません。 来月の本欄をお楽しみに。

この話はこれくらいにして冒頭のオリンピックが開催されたソルトレイクシティーの話に変わります。 ソルトレイクは意外にITと関連があります。 単なる山の中の町ではありません。 私は1989年に初めて行き、その後2-3回行った事があります。 最初の訪問で今でも良く覚えているのは、夕方に着いて次の朝の新聞で「常温核融合」が当地で発見された、と言う報道で何度も読み返しました。 ご存知のように核融合は高い温度と圧力与える必要があり、大きな高価な設備が必要であるためその経済性には大きな疑問がありました。 それが単に水溶液を電気分解するような手軽さで出来ると言うのです。 実際にエネルギーが出て、しかも核融合の証拠である中性子も観測されたと言う事で世界中がその追試を行いました。 しかし結局発明者しかその減少を確認できず、わが国でも通産省がプロジェクトを立ち上げましたが、現在ではほとんど研究はなされていないようです。 それでも当時はひょっとしたら、と言う感じはありました。

またソルトレークシティーとモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)は切っても切れない関係にあります。単にモルモン教の本部があるというだけではなく、町全体が、教会の総本山であるテンプルスクェアを中心に発展してきたといえます。 町のど真ん中にある教会を中心として東西南北に1番、2番、、、と通りがあって、本当に地面に座標を書くように町が出来上がっています。 モルモン教の創始者の名前がついたブリガムヤング大学はアメリカでもトップレベルの大学でソルトレイクの町から車で1時間ほどの距離にあります。 ここからはワープロで有名だったワードスターがベンチャーとして生まれています。 訪問した会社で聞いたら何と隣にあったということで、ベンチャーとして生まれてからロータスに買収されてしまいました。 訪問した辺りでビックリしたのは、目の焦点が何となく合わないのです。 あまりに空気が綺麗で澄んでいるので、距離感がうまく合わないのです。 これには頭がクラクラしました。

さらにソルトレイクは日本語が通じる事でも有名です。 日本で活躍しているアメリカ人タレントの大半はソルトレイクのあるユタ州の出身です。 一般に日本語のうまいアメリカ人はユタ出身が多いようです。 私にも知り合いが多くいますし、一度ソルトレイクのホテルで夕食を食べようとしたら「こんばんわ」と日本語でウエイターから話し掛けられてビックリしたこともあります。 なぜこんなにうまく喋れるのか、外国語が苦手な方としては気になって知り合いに聞いてみたら、やはりモルモン教と関連していて、布教のため外国に行く時に3ヶ月ほどカンズメで訓練するようです。 それでもたった3ヶ月で出来るようになるのは驚異的です。 いずれにしても人当たりの良い人が多くて、酒はもちろんコーヒーも飲まないような禁欲的な人たちです。

今月の書籍は「日本経済 暗黙の共謀者」です。 テレビでおなじみの筆者が一気に書いたもの。 書いてあることの真偽はともかく、こう言うことも考えたくなるような経済状況という事で、そう言う風に読めば下手な小説よりはるかに面白い。 値段も安いし一気に読めます。

以下は、本の帯からの引用。 「私は、彼らがわざとデフレを長引かせているのではないかと考えている。デフレスパイラルは、アメリカの経済失速という外的要因で発生したのではなく、政策の失敗によってもたらされたものでもなく、人為的に作られたものなのだ。実は、「デフレを長引かせること」によってメリットを受ける人たちはたくさんいる。5%を超える失業率やリストラに脅えるサラリーマン、あるいは自家の値下がりで住宅ローンを塩漬けにせざるをえなくなっている国民の傍らで、「デフレで笑いがとまらない」人々がたくさんいるのだ。彼らはデフレの継続を望んでいる。8年も続くデフレは彼らによって作られたものではないだろうか。」







2月3日
先日、久しぶりにシリコンバレーに行ってきました。 たいした用件は無かったのですぐに戻ってきましたが、何となくアメリカの状況が分かるような気がしました。 特定の会社の話がさておいて、大局的な状況と言うことになると外を見て回った方が良く分かると言うのが私の持論で、今回も時間が無かったので外をブラブラした時の話です。 前回に行った時もそうでしたが、以前のような起業ブームは影を潜めてベンチャーが入っているようなビルの駐車場はガラガラです。 以前に駐車場を潰してビルを建てたところは社名が変わっていました。 恐らく買収されたのでしょうが、本来はブロードバンドのルータを作っていたところなので、事業分野そのものがおかしくなったわけではないのでしょう。
また、新品の建てたばかりのビルに不動産屋さんの看板が挙がっていて、大変な感じがしてきます。 それでも全体としてみたら、1980年代の終わりの、つまりITバブルと言われた10年間の景気向上時期以前の不景気の時代の、空家ばかりの風景とはチョット違うようです。 あの狭いシリコンバレーにまだこれだけ土地があったのか、と思わせるほどドンドン、ビルが建設されましたが、それでもまだ大幅に余っているという感じは無いようです。 クパチーノのHPの隣にあったサクランボ畑がとうとう整地されてしまって、ビルが建つようです。 近くに唯一残ったトウモロコシ畑が無くなるもの時間の問題でしょう。 このような経済状況を裏付けるように最近では各種の経済統計データが良い数字を示しているようで、アナリストは再び強気になって来たみたいです。 まあ今のまま何も無ければ、今年の後半にはかなり力強い伸びが期待出来るのではないでしょうか。

しかし、日本では降って湧いた田中真紀子外務大臣の更迭問題で大騒ぎとなっています。 おかげで支持率が30%も急落したとの事で、これでますます構造改革からは遠のいたと言うことでしょう。 調査では外務大臣としては失格だが今回の件に関しては納得できない、と言うのが最も平均的な意見ではないでしょうか? 構造改革も昨年末から段々と後退と言うか現実が見えてきて、今回はハッキリといわゆる抵抗勢力が巻き返してきた、という状況です。 市場は早速反応して株、債権、円の3つが下がるトリプル安の状況になっています。 こうなると一喜一憂しないなどとは言っておれなくなりますが、出来る事は段々と減ってしまって、打ち手が本当に見えなくなってきました。

結局、9.11以後で始めて飛行機に乗ったわけですが、セキュリティが厳しいだろうと日本を出るときに恐る恐る2時間前に行ったのですが、結果は拍子抜け。 荷物のチェックは厳しかろうと思って、手荷物をみんな預けようと思ったらそんな必要は無いとの事で、手荷物のチェックもPCを取り出すだけで終わって、行列もなにもありませんでした。 2人の外国人の立ち話「…成田もセキュリティは厳しくないし…」の前後は聞こえませんでしたが、私と同じ印象を持ったようです。 反面アメリカを出るときは、靴まで脱がされて調べられました。 迷彩服を着た兵士が立って見張っていて、私の荷物に気になる物があったようで、取り出したら、親指を立ててOKを出してくれました。 予想よりは簡単でしたが、それなりに緊迫感のあるチェックでした。

搭乗手続きで最も厳しいのは何と言ってもイスラエルでしょう。 現時点ではテロが激しくなって出張は無理ですが、何年か前に相当怪しくて、他の人はキャンセルしたので私だけ行ったことがあります。 街中ではライフルを下げた兵士がウロウロしていて、ちょっとした戦時体制下でした。 入国は楽々で、しかし深夜の3時ごろになっていましたが、入国スタンプを押しても良いか? と聞くのでここで断ると後で大変と思って押してもらったのです。 後で聞くと、これでこのパスポートを更新しない限りエジプトなどのアラブ諸国には入国できなくなった、と言われて唖然。 せっかく10年有効のパスポートを作ったばかりなのに。 申告すると別の紙に押してくれるそうです。 もう少し聞けば良かった。

戦時体制下でなくても厳しいのは出国。 よく使うような折り畳みのテーブルが一面に並べてあって、そこに手荷物を全部置いて、それから質問攻めに最低でも30分、長いと2時間はかかるそうです。 知り合いはアラビア語を流暢に喋れるそうで、それもあって半分冗談でアラブに友達が居る、と言ったとたん質問が2時間を越えたそうです。 私の場合は客先に説明するためのOHPを持っていたので、それを取り出してまで説明。さらには政府のかなりレベルの高い人の名刺を持っていたせいか、30分チョットで無事通過することが出来ました。 ここでは2時間前に空港へ行けと言うのはギリギリなんですね。

インターネットの話題は段々少なくなってきましたが、ブロードバンドであるADSLの浸透はかなり広がってきました。 最近ではYahooは10営業日での開通を目標にしたりして、ほとんどのプロバイダでは1ヶ月もあれば開通するようです。 Yahooで有名になった8MbpsのADSLですが、本当に速度が出たところはあるのでしょうか? せいぜい出ても2Mbps程度のようです。 もちろん電話局との距離に大きく依存しますので、これのチェックが欠かせません。 距離のチェックと開通後の速度の測定には便利なサイトがありますので利用されたら如何でしょう。

インターネット電話もやっと本格化してきて、Yahooでは3分で全国一律7.5円となっていますが、本当の実力はこの値段でアメリカも同一と言うことです。 通常の電話ではアメリカからの通話はもう少し高いのでしょう。 先日のシリコンバレーでも必要があって向こうから電話会議をやったのですが、1時間通話して2-3000円だっと思います。 2400円として1分当り40円程度となります。 もしYahooを使うとアメリカと1時間話して150円と、ちょっとした国内の数分の長距離通話に匹敵します。

これからはブロードバンドが一般的になってくると、固定電話は不要で、ケータイとADSLによるインターネット電話が普通になるでしょう。 もっともADSLの接続のためには電話回線が必要と言う矛盾はありますが、音声通話の出来ない安価な方式(タイプ2)もありますので、東西NTTの旧来の電話事業は無くなる事は無くても確実に縮小していきます。 もしくはCATVとインターネット電話の組み合わせでも良いのでしょう。 現時点では少し安価な電話機能を提供しているところはありますが、全面的に現状の固定電話に取って代わるような状況にはなっていません。

インターネット電話になると現状でやはりPCから入る方が安いでしょう。 その時に必要になるのはマイクロフォンです。 スピーカーはそれなりに今でも使っているのですが、マイクに良いものがありませんでした。 つい最近USBタイプのものを見つけたので買ってみました。 結構高いですがデジタルなのでそれなりに音は良いです。 音声認識にも使えるとありました。 指向性もあるので遠くに置いておいて使えるので邪魔になりません。


今月の本は、いよいよ国債発行30兆円もほとんど骨抜きになっている現在、本当に考えないといけない「財政赤字」の話です。 あれだけ大騒ぎしたアメリカの財政赤字ですが10年の間に見事に縮小して来ました。 しかし今年度の財政はアフガンの対テロ戦争があったことなどで大幅な財政赤字が見込まれると言う事で、日米とも財政赤字が大きな問題として浮上してきます。 「財政赤字の正しい考え方」井堀利宏著、岩波書店、1,800円。

国と地方をあわせれば、666兆円にも及ぶ財政赤字を積み上げている現状は、目先の利益を過度に重視し、将来世代の負担を無視してきたからです。1998年からの4年間で「何でもありの底なしの景気対策」がとられた結果、財政運営の維持可能性すら危ぶまれる事態に至っています。一層の高齢化・少子化を迎える中で、財政の破綻と言う想像も出来ないような自体になり、ペイオフ解禁どころではなくなるわけです。

文章は少々硬くて繰り返しが多くて読みにくいところもありますが、これだけ全般的に財政赤字の問題を論じたものは少ないと言うべきでしょう。 個人や企業が行う借金と言うものと財政赤字は別物と言う議論もあり、現に10数年前のアメリカでも似たような議論はありましたが、実質的な問題は生じなかったように思えます。 ただ一時は役所の予算が無くなって役所を休みにしたときもありましたから、このような厳しい運営を行えない日本とでは状況が異なるでしょう。

いずれにしても借金は借金でこれは返す必要があり、この基本は税金でしかあり得ない事を論理的に展開しています。財政運営の持続可能性を取り戻すための課題は最後に示されていますが、今後8年程度をかけ、国内総生産(GDP)比で4%の歳出削減と4%の増税をあわせて実施するというものです。 しんどいが不可能ではないし、やらない訳には行きません。





1月1日
あけましておめでとうございます。 21世紀の2年目を迎えたことになります。 それにしても、流石と言うか何と言うか21世紀の最初の年つまり昨年ですが、いろいろありましたね。 やはり何と言っても最高は9月11日の同時多発テロ。 9.11と言うのが合言葉になっています。 日本の電話の110番に相当するのがアメリカでは911で、何となく因縁を感じます。 また日本では最後の駄目押しとばかりに不審船事件で幕を閉じました。 小泉政権も重要課題はほとんど先送りになりましたが、支持率は一向に落ちる気配が無く、2002年は1984年以来の政治的に平穏な年との事で、このままズルズルとこの状態が続くのであれば、あまりに先の見えない状況では我慢の限界が来るのではないでしょうか。

インターネットは通信手段としては完全に浸透し、放送、電話に並ぶものとしての地位を確立しています。 しかしながら低付加価値の典型であるインターネットは使いこなす事はあっても、それ自体で価値を生み出すものではありません。 また特にインターネットだからと言って大儲けできるものではありません。 これがネットバブルの意味ではないでしょうか。

「通信」と言う事業もしくは産業は付加価値を付けたい供給側と、元来の付加価値は低い方が望ましいと言う需要者側の綱引きの歴史であったと言っても過言ではありません。 電話線が良い例で、最も低い付加価値の使い方はドライカッパで、付加価値を付けると電話が可能であったりするわけです。 最近のADSLはこのドライカッパを使ってデータ通信をしようと言うもので、その結果距離によって速度が異なると言う、見方によっては不公平が生じています。 速度を保証するいわゆる付加価値が付いたものはISDNで、速度は出ませんが常に同じ速度をサービスしてもらえます。

2002年のITはやはりケータイとADSLに代表されるインターネット接続サービスでしょう。ケータイは2人に1台の割合になって固定電話の設置数をはるか前に追い越して、飽和状態になりました。 これだけの数の端末が電波と言う有限の資源を使ってつながると言うことを誰が予想したでしょう、驚異的と言っても良いでしょう。 ただ問題はこれがほとんどNTTドコモ1社でコントロールしていると言うことで、その良し悪しはいろいろ議論があるとしても、更なる発展を目指すなら、この点を解消しないといけないでしょう。 単なる通話料を稼ぐと言うだけではなくて、全ての機器が電波を通じて通信し合うと言う状況を作り出すのなら、ケータイの基本料金の桁落ちが必要です。 これによって現状のケータイ先進国の日本が世界をITで牽引できることでしょう。 自衛隊の国際貢献も必要ですが、世界第2位の経済大国としてIT分野で世界を牽引することも大いに考えないといけないでしょう。

第3世代のFOMAなどがもたついていますが、最大のコンテンツは人間で音声通話が最大のキラーアプリであり、FOMAの上で本気でIP電話を考えないといけないと思います。通常のインターネットではIP電話のサービスがいろいろ出てきているようです。 以前にも紹介した事がありますが、現状では広告とセットになった無料通話のビジネスモデルを良く見ますが、いずれは本格的なIP電話のサービスも始まることでしょう。

これと関連していますが、ADSLに代表されるブロードバンド接続が今年は本格化するでしょう。 ADSLの1.5Mと8M、無線LAN、CATVさらにはFTTHなど選択の幅は広がってきました。 少なくともISDNを解約してADSLにすれば電話も通常のアナログ電話とIP電話の2回線はつかえるようになります。 本命はやはりFTTH(光ファイバ)で、アナログ電話の設置費に7万円も支払っていたのですから、これを考えるとFTTHも早期に実現可能でしょう。

ところで年末にJR大阪駅の北側にオープンした超大型量販店に行って来ました。 まあその大きなこと。 アメリカのシリコンバレーのFry'sが大きいと思っていましたが、それをはるかに凌いでいますね。 それは良いとして、買ったものはディスク方式のビデオレコーダー。 ちょっと型が古くて安いものを買ったので、30Gのディスクで30時間ほど入ります。 使い勝手はイマイチですけど、なるほどと思ったのはMPEG圧縮を使い、シリアルのインターフェース(IEEE1394 100〜Mbps)で十分な画像が得られることです。 比較すると分かるのでしょうが単独で見ているとほとんど分かりません。 使用しているMPEGは28Mbpsまでだそうで、逆にいうと100Mbps程度の通信速度があれば十分にリアルタイムで同じレベルの画像が得られると言うことです。

FTTHは有線ブロードネットワークスが月額6000円程度、工事費3万円程度で使用可能であり注目を浴びています。 また関西地区でも関西電力系の会社がモニタ設置を始めており、都市部では利用が可能になっていて、テレビ、電話、インターネットが1本のファイバでつながる日もあながち遠い未来ではなさそうです。 昨年の正月にはまだADSLはメジャーではなかったですが1年経ったら様変わりです。 来年の正月はどうなっているのでしょう。

今月の本は、年明けと言うこともあって宇宙ものです。 「宇宙を支配する6つの数」 マーティン・リース著 林 一訳 草思社 \1,900 世知辛い世の中をお正月ぐらいは忘れて100億年のかなたを想像してみるのも良いと思います。 この本は宇宙の基本的な定数をネタに最新の情報を平易に、また良い意味の独断で紹介するものです。 なぜ我々はここに居るのか、なぜ宇宙はこんなに大きいのか、なぜこんなに宇宙は古いのか、などに答えてくれます。 我々の認識できる最大の宇宙とミクロの素粒子の世界がいかにつながっているか、それぞれの大きさをうまく実感が出るように説明されています。 基本的には人間中心主義と言う、我々が存在するように宇宙が組み立てられている、と言う立場にたっていて、この宇宙自体が物凄い少ない確率で生まれたものと言うことです。 私はさらには地球のような知性体が生まれるには、これまた物凄く少ない確率であったろうと思います。

宇宙が生まれた時には水素(陽子1つと電子1つ)がまずあって、ヘリウムはビックバンでちょうど良い量(たまたま)に作られました。 その後の星の誕生で、星の内部で鉄までの元素が作られて、星が爆発して超新星になるときに、それ以上のウラニウムなどまでの元素が作られたのです。従って地球や我々の体は爆発した星の亡骸、廃棄物で出来ているのです。 宇宙が生まれてから50億年で地球を含む太陽系が作られ、その後最初の生命が誕生してから35億年で知性体が生まれているのです。 太陽系などが出来るのは数万年ぐらいで、結構短期間で出来上がるみたいです。 たんぱく質に毛の生えた程度はすぐに出来るのでしょうが、真核細胞(DNAをキチンと持ったもの)はなかなかで、これさえ出来れば後は知性体まで数億年です。 ちなみにミトコンドリアなどは単体で進化してきたものでは無くて、外部から入り込んできた共生体だそうです。 こう考えると竜巻が農具小屋を襲った時にジェット機が出来上がったような確率と言うのも、そんなはずは無いと思う反面そうかも知れんという気になります。

宇宙が出来てから、我々と同じような知性体が生まれたとすれば、大体同じくらいで無いと複雑な生命体を作り出すための元素が不足してきます。 従って存在するとすれば、同じ時期に存在していることになります。 また、銀河系で考えると中心部は星が密集しすぎていますから、我々の太陽系のように銀河系の周辺部に存在するでしょう。 知性体が非常に稀で銀河系に2つしか存在しないとすると、確率的には太陽系と反対側に居ることになります。 そうすると発する電波を捕らえようとする計画も無理と言うことになります。

木星のような大きな星が外側にあるせいで、地球を直撃する彗星などから守ってくれていると言う考えもあり、数年前にレビー・シューメーカー彗星が木星に衝突したのはその例と考えれれています。 その他にもプレートが存在してダイナミックに地球が変化した、オゾン層で紫外線が防御されている、太陽風で太陽系が守られている、などなどそれ以外にもまだ知られていない幸運が我々知性体を生み出したのです。 アインシュタインの有名な言葉に「宇宙で最も不思議なことは我々が宇宙を理解できることだ」と言うのがあります。 元の意味はいろいろ含んでいるようですが、宇宙を理解できる(しようとする)生命体が生まれると言うこと自体がこの宇宙の脅威でしょう。